北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成8年度新発生病害虫]

マキバカスミカメによるメロン果実の異常ネット(新寄主)


 1996年8月後半に後志管内共和町で、トンネル栽培のメロン「キングナイン」「サッポロレッド」に、ネットの不規則分布などの異常亀裂が見られた。発生戸数は作付け戸数の1割ほどの約25戸で、被害果実割合は多いところで100%近かったが、普通は数%程度であった。発生圃場では、マキバ カスミカメの若齢〜終齢幼虫が果実上に混在し、成虫も普通に見つかった。被害部はカボチャのようにこぶ状に高く膨れあがる事は少なく、やや盛り上がった亀裂となる。亀裂は通常のネットに比べると広くて深くなり、ネット分布が不規則であるため、商品とはならない。また、つるの付着部あたりでは、つると果実にも吸汁痕が多かった。これは、ネット形成初期の果実にも見られ、つる付着部の周辺には不規則な亀裂が生じていた。
 異常亀裂の見られる部分の表皮を薄く剥いでやると、新しい食痕では円い透化部が、古いものではコルク化した傷が見られる。その刺し傷の周辺には肥大した細胞が集団となって混在しているのが特徴と言える。これは、カボチャの被害症状と共通するもので、こぶ状に膨れ上がらない点が異なっている。
 なお、被害は8月後半〜9月前半に収穫する作型に多く、圃場の外周に近いトンネルで多発していた。このような被害発生状況から見て、圃場外からの侵入成虫によるものと推定される。なお、圃場内に雑草は無く、近くに収穫直前の馬鈴薯畑や小麦畑があるが、牧草地はない。
 マキバカスミカメは広葉雑草の未熟種子などを好むようで、秋期の成虫はシロザやキレハイヌガラシに比較的多く見つかる。幼虫は赤クローバー草地に多いと言われるが、生息地に関する詳しい情報については不足している。

(十勝農試、中後志農改センター)



マキバメクラガメ メロン果実の異常ネット

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