北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成8年度新発生病害虫]

野菜・花卉類のミカンキイロアザミウマ(新発生)


 1996年5月下旬から6月上旬に、上川郡東川町のピーマン栽培農家でピーマンの黄化えそ病が発生した。本病はアザミウマが媒介するウイルス病であることが知られており、被害株から採集したアザミウマ標本を農林水産省農業環境技術研究所の宮崎昌久昆虫管理科長に同定依頼した結果、北海道では未確認のミカンキイロアザミウマFrankliniella occidentalis (Pergande)であることが確認された。6月14日に病害虫防除所、同上川支所、中央農試、上川農試、旭川農業改良普及センターで現地調査したところ、被害は5棟あるハウスのうち1棟だけで発生しており、発生株率は20%であった。現地では二重被覆のトンネル栽培をしており、アザミウマの移動がトンネル内に制限されたためか、トンネル間で発生量に大きな差があった。また、7月に東川町のハウス栽培ピーマンを調査したところ、20カ所のうち4カ所で発生が確認されたほか、旭川市東鷹栖のハウス栽培シシトウや門別町のほうれんそうで、8月には伊達市のハウス栽培インパチェンス、妹背牛町のバラおよびクラスペディア、長沼町のシクラメン、大野町のハウス栽培キク、9月には余市町のピーマン、10月には当麻町のハウス栽培カーネーション、滝川市のアスター、アルストロメリアでも発生が認められた。なお、1994年に新寄主と報告したホウレンソウのヒラズハナアザミウマ、1995年に東川町で発生したアザミウマ類の標本は精査の結果、本種であることが判明した。したがって、現地への侵入は前年以前に起きていたものと推定される。また、門別町の事例ではほうれんそうの前作はイチゴであるが、苗は栃木県から導入されたこと、大野町ではキクの苗が広島県より移入されたことがわかっており、こうした苗類の流通がさらに発生域を拡大させる危険がある。
 なお、本種の形態、生態、寄主植物等については、平成8年度病害虫発生予察情報、特殊報第1号を参照のこと。

(上川農試、道南農試、中央農試害虫科、病害虫防除所、花野菜センター)



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