北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成8年度新発生病害虫]

にんじんの黒しみ病(新称)


 富良野地方で、数年前よりにんじん根部のしみ腐れ症状が問題となっていた。Pythium sulcatumによるしみ腐病の他に、収穫時には数mm程度の水浸状の小斑点であるが乾燥すると黒変するものが多かった。本年はさらに、根部の肩の部分が黒く大きく腐敗するものも見られた。両症状とも腐敗部分からはFusarium属菌が高率に分離された。にんじん根部に本菌の含菌寒天をおいて無傷接種したところ、激しく腐敗症状を示した。本菌は形態的特徴からFusarium oxysporumと同定された。にんじん種子に対しては発芽阻害をおこし、種子に対する病原性も有した。道内での発生実態を調査したところ、富良野市の他に、七飯町、厚沢部町、北桧山町、石狩町、栗沢町で発生が認められた。F.oxysporumによるにんじんの病害は、金城ら(1989)の萎ちょう病が報告されているが、本病とは病徴が全く異なるため、本症状を黒しみ病としたい。今後、両菌株を比較して、分化型の相違等について検討する必要があると思われる。

(病害虫防除所、ホクレン農総研)








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