北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
1994年、今金町の周年ハウス栽培の簡易軟白ねぎで、根が褐変腐敗し生育が著しく不良となる症状が発生した。本症は塩類集積ハウスに多くみられ、発病株は地上部の生育が劣り葉先が枯れる。また、茎盤部の褐変は認められず、根のみが侵されることから萎凋病とは明らかに異なっていた。罹病部からはFusarium菌が高頻度に分離され、分離菌の多くはPSA培地上に黄〜橙色の色素を産生した。この菌株の接種土壌にねぎおよびたまねぎ種子を播種したところ90%以上の苗が立枯れた。また、接種土壌にねぎ苗を移植すると根が褐変し萎凋する症状が再現された。さらにその症状はEC値が高いほど発病は激しくなった。分離菌は小型分生子、大型分生子および厚膜胞子を形成し、小型分生子は短い単一フィアライドに擬頭状に形成すること、その分生子の大きさから、Fusarium oxysporumと同定した。本病をネギ根腐萎ちょう病(仮称)としたい。現在のところ本菌はねぎおよびたまねぎのみに病原性を認めているが、f.sp.cepaeとの分類上の関係についてはさらに検討する必要がある。