北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
1993年10月、伊達市でねぎの葉鞘(軟白部分)が腐敗し、胴割れ症状を呈する病害が発生した。病斑は主に地際から地下部に形成され、最初、葉鞘部表面に淡褐色の斑点を生じ、外葉から腐敗する。時には病斑部を中心に縦に亀裂が入り胴割れとなる。病斑部の表面には黒色の小さな菌核が多数形成されていた。
罹病葉や菌核からは、接種試験でねぎやたまねぎに病原性を示す2種のBotrytis属菌が分離された。うち1種は23〜25℃に生育適温があり、PDA上に多数の菌核を形成し、この菌核上にconcertina-like collapseを伴う分生子柄を形成する。分生子柄に形成された大型分生子の大きさは9.4-(18.6)-28.8μm×8.4-(12.9)-21.6μmで、最近関東地方で問題となっているネギ小菌核腐敗病菌B.squamosa Walkerと同定した。本病は同じ年に大野町でも発生を認め、また、伊達市では1994年以後も恒常的に発生している。
一方、分離されたもう1種のBotrytis属菌はPDA上に菌核を形成せず、菌叢は綿毛状を呈している。種の同定についてはさらに検討したい。