[平成8年度新発生病害虫]

小豆種子のマキバカスミカメによる吸汁害(新被害)


 1994〜96年にかけて、北見農試の無防除ほ場および十勝管内の農家ほ場12筆から、カメムシ類によると思われる小豆種子の吸汁害が認められた。
 被害症状は、種皮に針で刺したような点状の穴が開いて陥没するが、重症のものでは穴を中心に種皮が裂け、内部の組織は空洞化したりスポンジ状になるなどしている。莢には、外見上顕著な刺し傷は認められないが、種子の被害部に相当する莢の内面には褐点が認められることが多い。
 1994〜96年に、北見農試の無防除ほ場の小豆種子について、収穫・とうみ選後に各2000粒を調査したところ、上述のような被害粒が3.7〜5.4%認められた。帯広市太平の小豆畑では、1995年に8株80莢の全粒(414粒)を調査したところ、未熟粒を含む被害粒率が17.9%であった。いずれのほ場でも、払い落とし調査などでマキバ カスミカメの成虫が多数採集されたことから、95年9月に北見農試で袋掛けによる放飼試験(4莢当たり成虫5頭放飼)を行った。その結果、放飼区では吸汁被害粒率が34.2%(無放飼区では1.4%)、しいな粒率は52.6%(同0.7%)となり、マキバ カスミカメの吸汁により小豆種子の成長阻害および刺傷痕粒が発生することが明らかとなった。なお、本種による小豆への加害は、古くから報告されているが、茎葉からの吸汁が知られるのみで、種子への加害は報告されていない。

(北見農試、十勝農試)



小豆莢上のマキバメクラガメ成虫 マキバメクラガメによる吸汁害粒

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