北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成7年10月、上磯町の農家が栽培するルドベキア(品種「タカオ」)の葉にハモグリバエの甚だしい寄生被害が認められた。室内飼育で得られた羽化成虫による同定の結果(岩崎暁生氏同定)、本種は静岡県を中心として施設作物で被害の大きいマメハモグリバエLiriomyza trifolii Burgessであることが確認された。 本種は平成2年に静岡県の花卉、野菜などで発生が確認され、同県から西日本にかけてまたたく間に分布を拡大した。東北地方では平成6年に福島、宮城県、平成7年には岩手県でも発生が確認されている。本種は静岡県での発生当初から各種殺虫剤に対して高い抵抗性を示し、寄主範囲もきわめて広く、キク、ガーベラ、トマトをはじめさまざまな作物で深刻な被害を与えている。
ルドベキア苗は種苗会社を通じて関東地方より移入されており、苗の移動により持ち込まれたとみられる。渡島地方では上磯町のほか、七飯町の1農家でも同じ種苗会社を通じてルドベキア苗が移入されており、同じく本種の寄生被害が認められたが、露地マルチ栽培のため被害程度は軽かった。また、発生場所を中心に行った現地調査では周囲のハウス作物での被害はみられなかった。本年については冬季間のハウス解放および被害株の鍬込み処分により死滅を図ることとした。
北海道では昭和36年にマメ科植物(ダイズ、 シロクローバ、 ハマエンドウ)からマメハモグリバエの採集記録があるが、これはL.congestaであり、現在ではマメハモグリバエの和名はL.trifolii に用いられている。
種苗会社からの聞き取り調査では、ルドベキア苗は平成7年度に上磯・七飯のほか、道内12カ所(北村、恵庭、月形、当麻、秩父別、美唄2カ所、峰延、江別、豊浦、伊達、帯広、合計6410本)に移入されており、苗の移入市町村では厳重な警戒を要する。