平成6年の月形町および平成7年の恵庭市ではスカビオサ(マツムシソウ科)に、平成7年の恵庭市および長沼町ではエローサルタン(キク科)に地際部から褐色の病斑が進展し、立枯・枯死する症状や葉が灰色のかびを伴って腐敗する症状が発生した。病原菌を分離したところ、灰白色で気中菌糸の旺盛な菌叢を呈するBotrytis菌が高率に分離された。スカビオサ(品種「ファマ」)およびエローサルタン(品種不明)に再接種したところ、地際部から枯れ上がる症状が再現された。また、インゲンマメおよびイチゴの切離葉に対しても病原性が認められた。各分離菌株はPDA培地上で黒色、不正形の菌核(5mm程度)、Holdーfasts、分生子、小型分生子を形成した。分生子の大きさはスカビオサ株で7.3〜13.9×6.2〜10.0μm(長径×短径)、エローサルタン株で7.1〜13.0×5.5〜9.4μm(同)であった。以上のことから、本病菌は多犯性の病原菌で、大型分生子の大きさなどから、Botrytis cinereaと同定した。発生圃場では被害が大きく、当作物は本病に対する感受性が特に高いと考えられることから、発生には十分注意が必要である。