北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成7年度新発生病害虫]

アスターの萎ちょう病(新発生)


 平成2年は千歳市で、平成4年には長沼町において、アスター(Callistephus chinensis Nees)が黄化・萎凋する病害が発生した。病株の胚軸部は褐変しており、維管束には糸状菌の侵入と一部チローシスが見られ、その病変部からはFusarium 菌が高頻度で分離された。本菌の単胞分離株を用いて形態的特徴を調べたところ、大型分生子の隔膜数は3、基脚および先端細胞は嘴状を呈し、その大きさは37.2〜56.0μm(平均46.7)×3.2〜6.4μm(同4.6)であった。小型分生子は分生子梗上に擬頭状に形成される。分生子梗は短く、隔膜がない。厚膜胞子は頂生または間生である。以上より本菌をFusarium oxysporum と同定した。浸根接種により本菌の寄主範囲を調べたところ、アスターおよびキク(Chrysathemum morifolium Ramat)に対して強い病原性を示した。しかし、キク科(4種)、ナデシコ科(6種)、アブラナ科(4種)を含む18科35種の植物に対して病原性を示さなかった。ダイズでは根部表面が褐変したが、維管束の褐変は見られなかった。本菌の分化型はf.sp.callistephiiとなる。

(北海道病害虫防除所)










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