平成7年、北海道鵡川町、長沼町においてグラジオラスの葉枯れ症状が発生した。病株ははじめ葉に微小な斑点が生じ、やがて病斑は拡大し、赤褐色の病斑となる。病斑は円形あるいは紡錘形に拡大し、病斑中央部は分生子の形成によりすす状となる。病斑部からはCurvularia属菌が高頻度で分離された。 分離菌をグラジオラスの葉身に接種したところ、同様の病徴が再現された。本病菌の分生子は淡褐色〜褐色で分生子柄の頂部あるいは側部に着生する。基部細胞は特徴的なhilumを有する。細胞は4室からなり、基部から3番目の細胞が最も大きく、褐色も濃くなり、この細胞から一方向に曲がる。屈曲は90°近い分生子が多い。大きさは葉身上で21.9〜37.9×10.5〜15.9μm、PDA培地上で19.9〜36.0×8.7〜14.9μmであった。長さ/幅の値は葉身上で2.3〜2.43、PDA培地上で2.42〜2.53であった。以上より本病菌はBoerema and Hamers(1989)のC.gladioli に一致した。本邦で本病の病原菌は内藤・大内(1956)が報告したC.lunataのままであることから、病原菌はC.gladioliとすべきである。