北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成6年度新発生病害虫]

ニンジンのストレプトミセスそうか病(新称)


 1993年9月、北海道小清水町のニンジンに横しまのやや隆起または陥没したあばた状の病斑が発生した。
 本病はニンジン根面の皮目から発症して表皮に幅5〜l0mm、長さ10〜30mmで、数mmの隆起または陥投したあばたを形成するため、重症個体は商品価値を著しく損なう。同様の病害は1994年に斜里町でも認められた。これらの病斑からは放線菌が多数分離され、ニンジン「キャロシー」に接種すると、自然発生と同様の病斑が発現し接種菌が再分離された。
 本病原菌は培地上でよく伸長し分岐する基生菌糸と気菌糸を形成し、基生菌糸は分断されず、胞子のうも形成されない。気菌糸には分節胞子の長い連鎖を直線状〜波状につくる。胞子は表面が平滑で、非運動性である。培地上でのコロニーはやや盛り上がり、気菌糸の着生は豊富で、灰白色である。可溶性色素およびメラニン様色素を生成せず、スターチを加水分解し、多くの炭素源を利用する。さらに菌体からLL−ジアミノピメリン酸が検出され、細胞壁組成はTypeIであった。
 以上から、本菌はStreptomyces属菌に所属するが、S.scabiesとは異なるものと考えられ、種名は今後検討したい。放線菌による病害にはそうか病を当てることが多いが、ニンジンでは既に他の病原菌でそうか病が使用されているので、本病はストレプトミセスそうか病と呼称したい。

(北見農試研究部、十勝農試研究部、清里地区農業改良普及センター)



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