北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成3年〜5年、石狩および空知支庁管内で、キク科の花きにハモグリバエによる被害が認められた。成虫を同定した結果、ヨメナスジハモグリバエ Liriomyza asterivola Sasakawa であることが判明した。被害を認めた花きはアスター(長沼町:平成3年6月および平成4年7月)、エリゲロン(岩見沢市:平成3年6月、長沼町:平成4年7月)、ヒナギク(岩見沢市および広島町:平成3年6月)、ユウセンギク(栗山町:平成5年9月)などであった。
成虫は体長1.7〜1.8mm、翅長2mm内外の小型のハエ、幼虫は白色小型のウジで、老熟幼虫の体長は約2.5mmである。成虫、幼虫ともにナスハモグリバエと酷似し肉眼での識別は困難であるが、幼虫及び蛹(囲蛹)の後ろの気門は3個の小孔をもち(ナスハモグリバエでは7〜12個)、成虫の頭頂部にある3対の剛毛のうち、最も外側の剛毛の根部が黒色である。(ナスハモグリバエでは黄色)。
雌成虫は産卵管で葉の表面に小さな傷をつけるので、その部分は白色円形の穴が残る。幼虫は表皮の内側をもぐり葉肉を食害する。食害痕には最初直径5mm程度の同心円を描いた後、円から離れて不規則な線状の潜孔となる。同心円の形状は寄主植物の種類や生育の状態によって異なるようでほとんど円を描かないこともある。糞は黒色で潜孔の両側縁に不規則に連なる。潜孔部は褐変して枯死するので、その部分は一見病斑のように見える。