北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成5年度新発生病害虫]

ニンジンのニンジンフタオアブラムシ(新寄生)


 平成5年8月中旬、名寄市のニンジンにアブラムシが多数寄生しているのが認められた(名寄地区農業改良普及所)。採集個体を十勝農試鳥倉英徳氏に同定依頼した結果、ニンジンフタオアブラムシ Cavariella aegopodii (Scopoli) と同定された。同農業改良普及所の調査によれば、名寄市、風連町のニンジン圃場で広く寄生が認められ、特に殺虫剤を散布していない圃場で発生が多い傾向であった。
 9月1日に収穫直前の発生圃場を調査した。圃場は平坦地の転換畑で水稲とアズキに囲まれ、約20%程度抽台しており、寄生株率は未抽台株で52%、抽台株で84%であった。平均寄生個体数はそれぞれ8.9頭、7.0頭であった。抽台株では主に側技の分岐部分の内側や花部の下の葉に寄生しており、未抽台株では生長点に近い未発展葉や若い葉の葉脈に沿って寄生が見られた。
 無翅胎生雄虫は緑色で光沢はなく、触角・角状管・尾片とも体色と同じである。触角は6節で第二次感覚孔はなく、体長より短い。額瘤は不明瞭である。尾片の上部に尾片より少し小さい上尾片がある。
 本種は北海道に分布することは知られていたが、ニンジンからは初めての記録である。本種の主寄主はヤナギで、中間寄主はセリとされているが、生活環や被害などは明らかでない。国外では野菜ウイルス病を媒介することが知られている。

(上川農試研究部)



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