北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成5年、10月下旬に胆振管内伊達市のてん菜にマメクロアブラムシ(仮称) Aphis fabae Scopoli の発生が認められた。本年の「モノヒカリ」は抽苔が多めで、アブラムシの寄生はこの花茎先端付近に多かった。晩秋に胎成虫だけがいたことから、これらは不完全生活環の群と判断される。寒冷地では越冬困難だが、道南地域では越冬の可能性がある。
体色はマメアブラムシあるいはギシギシアブラムシに似て黒色である。ただし、この2種とは、胎生雄の背中に光沢がなく、触角・脛節が白いことで判別できる。
欧州の知見では、 A.fabae には数亜種が認められて、てん菜に寄生する亜種はソラマメ・シロザ・クサノオウにも寄生する。寄主植物の転換を行い、一次寄主はマユミ属潅木の
Euonymus である。多くの非永続性ウイルス、および Potato leaf roll.Beet yellows net などの永続性ウイルスを媒介するいわれる。