平成4年9月、長沼町でキク「スプリングソング」の株全体が萎ちょうする症状が発生した。発病株は暗褐色で水浸状の病斑が地際部から上部に進展し、導管部は褐変していた。病原菌を分離したところ、白色集落を形成する細菌が分離された。分離細菌をキク「スプリングソング」、「フロリダ」に接種したところ、いずれの菌株も強い病原性を有した。本細菌は周毛を持つグラム陰性の桿菌でオキシダーゼ活性が陰性、グルコースを発酵的に分解し、黄色色素は非産生、硝酸塩を還元し、ゼラチンの液化は陽性、ジャガイモ塊茎を24時間以内に軟腐させることからErwinia carotovora群に属すると考えられた。さらに、インドール産生、フォスファターゼ活性、レシチナーゼ活性、エリスロマイシン感受性およびマロン酸の利用が陽性、セビオース、マンニトール、ラムノースおよびサリシンから酸を産生するが、トレハロース、マルトース、ラクトースから酸を産生しない。以上の結果から本細菌は Erwinia chrysanthemi Burkholder,McFadden & Dimock と同定した。