北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成5年9月上旬に音更町において成育中のナガイモの根部に褐色〜黒褐色の水浸状病斑を生ずる病害が発生した。発生面積は約20aで、発病個体は商品価値を失い、減収率が高かった。前作はゴボウである。
病班は不定型で軟腐せず、湿性の光沢を有する。初期病斑は淡い褐色で、症状の進展した病斑は黒褐色を呈するが、健全部との境界は明瞭である。根部の各部に病斑がみられたが、主として竜首部およびその周辺が侵されるものも多かった。被害個体は地上部の症状は明らかでないが、被害芋のごく一部には分岐の奇形が見られた。発病を認めた時期は圃場が多湿であったことが特徴である。
分離菌はその形態、培養性質からRhizoctonia solani Kuhnと同定され、標準菌株(北大農学部生越教授より分譲)と菌糸融合を観察した結果、菌糸融合群2群2型、培養型VBと考えられた。接種試験の結果、有傷接種では病原性を認めた。Rhizoctonia によるこのような症状は昭和50年代から網走管内東藻琴村で見られていたといわれる。
なお、本菌型は北海道では角野らにより共和町等のゴボウ黒あざ病(ヤケ症)からも分離されていることから、今後輪作にあたっては注意を要するものと考えられる。