北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成5年度新発生病害虫]

メロンのつる割病(新系統)


 平成5年、夕張市のメロン栽培4農家で、つる割病抵抗性台木「金剛1号」、「夕張改良1号」に接ぎ木した「夕張キング」が黄化・萎ちょう・枯死する病害が発生した。本病は導管部が褐変するなど一般的なつる割病に類似する症状が見られるものの、茎部からヤニの分泌が激しく茎部が黒褐変して腐敗する点や退色して黄化した葉に光沢が出て硬化することなどの相違点も見られた。そこで褐変した導管部から病原菌を分離し、その同定を行った。分離菌は小型および大型分生胞子の形態的特徴からFusarium oxysporum であった。同菌の胞子懸濁液をメロン、スイカ、ヘチマ、キュウリ、ユウガオ、カボチャ類に浸根接種すると、ネットメロン、マクワ型メロンおよびマクワウリに対して強い病原性を示し、シロウリにもわずかに病原性を示したが、他のウリ類には病原性を示さなかった。このように分離菌が侵した作物は Cucumis melo L.に属するもののみであることから、同菌はF.oxysporum f.sp.melomis と考えられた。次に、今回の分離菌および一般的なつる割れ病からの分離菌をそれぞれ「夕張キング」、「プリンス」(プリンスメロン)、つる割病抵抗性メロン6品種および同抵抗性台木13品種に浸根接種した。その結果、道内の一般的なつる割病から分離した菌は「夕張キング」のみを侵し、その症状は葉の葉脈に沿った褐変・枯死と萎ちょうおよび地際部の茎に見られる暗緑色水浸状の腐敗である。一方、今回の分離菌は供試したすべての品種を侵し、その病微はほ場と同様で葉が黄化し、その表面に光沢を有し、葉の組織が硬化する。また、地際部の茎は黒褐色に腐敗して、同色のヤニを分泌した。このように今回夕張市に発生したつる割病の病原菌はこれまで道内各地から分離されたつる割病と病徴および寄生性が顕著に異なっていることから、新規の系統であると考えられる。なお、Armstrong(1978)らはメロンつる割病原菌を7レースに類別しているが、供試菌がどのレースに該当するか今後検討を要する。

(中央農試病虫部)



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