北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成5年度新発生病害虫]

馬鈴しょの半身萎ちょう病(Verticillium dahliae klebahn)(新発生)


 近年、道内各地で馬鈴しょの黄化期が早くなる現象か見られている。このようなほ場では下位葉の黄化、株の片側あるいは全体の萎ちょう、茎部維管束の褐変など、半身萎ちょう病類似の症状を呈する株が散在しているところが多い。これらの症状の見られる11町村24ほ場の株lこついて、茎部から病原菌の分離をおこなったところ22ほ場のものから高率lこVerticillium属菌が検出された。道内ではジャガイモ半身萎ちょう病の病原菌としてV.albo-atrumV.nigrescensがすでに報告されているが、分離菌はPDA培地上で多数の微小菌核を形成することと30゚Cでも生育することなどから、これらの菌とは異なるV.dahliaeであると考えられた。分離菌の胞子懸濁液を馬鈴しょの幼苗に浸根接種したところ、維管束の褐変と下位葉の黄化・萎ちょうが生じ、分離菌の病原性が確認できた。分離菌は多犯性であるので、今後これらの寄主範囲について明らかにする必要がある。また、上記症状を呈するほ場は全道各地で散見されることや、本症状の見られるほ場では塊茎が小さくなり滅収する傾向がみられたことなどから、本病の発生実態の把握と収量に及ぼす影響についても早急に検討する必要かある。

(中央農試病虫部)










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