北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成4年6月中旬に士幌町において発芽揃い期の小豆・菜豆に初生葉が食害され、タネバエの被害に類似したいわゆる「ボーズ」症状がみられた。発生面積は両者あわせて約20aで、被害面積は5aほどであった。発芽直前の被害茎の地際部からは体長約3mmのユスリカの幼虫が多数得られ、羽化個体からSmittia akanduodecima Sasa et Kami-muraと同定された。
菜豆では子葉の種皮下及び子葉間の初生葉に幼虫が見られ、子葉は表面を浅くかじられる軽度の食害であったが、初生葉は太い葉脈を残すだけの激しい被害となった。小豆の初生葉でも同じような食害で、生育遅延あるいは不能となる被害であった。タネバエと比べると小型であり、被害部は初生葉の脈間に限られるとみて良い。
発生場所はてん菜跡地で、春起こしの圃場のやや低みに多い傾向が見られた。タネバエ防除のために種子粉衣をしているが、加害部位が薬剤の未付着部であるために被害が目立ったようにも思われる。
老熟幼虫は半透明で淡褐色、体長は約3mmで太さ0.3mmと細長い。双翅目の他種と同じように無脚であるが、頭殻及び眼点があり、尾端腹部にイボ状の突起がある(かつて、十勝で多発したエリユスリカ亜科の一種では、この突起はふさ状)。成虫は、ほとんど黒色の体長1mm程度の小さな蚊のような形で、雄の触角はふさ状である。蛹化は土中で行われ、年間数回以上は羽化すると思われる。
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