北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成3年度新発生病害虫]

シクラメンの葉腐細菌病(新発生)

(1991年−平成3年)


 平成2年の7月に北海道渡島支庁管内七飯町でシクラメン葉腐細菌病に酷似した病害が発生した。罹病葉柄は、暗黒色水浸状に腐敗し、葉身は黄化、萎ちょうして、ついには枯死する。罹病葉柄および塊茎の維管束は褐変し、罹病組織中には多数の細菌細胞が認められたが、菌糸は観察されなかった。
 黄色集落を形成する病原細菌が罹病組織から分離され、本細菌は周べん毛を有するグラム陰性で通性嫌気性の短桿細菌であり、カタラーゼは陽性であるが、オキシダーゼおよびウレアーゼは陰性であった。アルギニン、オルニチン、グルタミン酸およびリジン脱炭酸酵素活性はいずれも陰性で、ジャガイモ塊茎を腐敗させない。36℃で生育し、ゼラチンを溶解するが、インドールを生産しなかった。フェニルアラニンデアミナーゼは陽性で、硝酸塩を還元した。エタノールおよびソルビトールからの酸の生産は陰性であったが、マロン酸を利用した。
 本細菌の細菌学的ならびに血清学的性質をシクラメン葉腐細菌病菌 Erwinia herbicola C9菌株(静岡大)、E. herbicola (ATCC 33243)およびE. ananas (ATCC 33244)と比較した結果、本細菌はE. herbicola と同定された。
 以上から、北海道におけるシクラメン葉腐細菌病の発生が確認された。

(道南農試病虫予察科)


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