北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成3年度新発生病害虫]

ながいものシリンドロカルポン根腐病(仮称、新発生)

(1991年−平成3年)


 平成3年3月、幕別町の貯蔵中のナガイモ根面に褐色、円形に陥没、腐敗する病斑が無数に生ずる病害が発生した。病斑は主として、側根の基部から円形に拡大し、その大きさはほぼ揃っているが、試料により直径数mm〜数cmに及ぶ。収穫時には症状は軽微であるため、気がつかないことが多い。
 病斑から常法に従って、病原菌を分離したところ、Cylindrocarpon 属菌と考えられる糸状菌が高率に検出された。分離菌は、無色、円筒型、鈍頭の大型分生胞子を有し、その大きさは0隔膜で15.0〜38.0×4.5〜7.0μm、1隔膜で20.0〜38.5×5.0〜6.3μm、2隔膜で30.0〜38.8×4.5〜6.3μm、3隔膜で28.8〜42.5×5.0〜6.5μmであった。
 また、無色、単胞、長楕円形の小型分生胞子、褐色、球形の厚膜胞子を有し、生育適温が20℃であることなどから、本菌はCylindrocarpon destructans (Zins.)Scholten と同定された。
 このような症状は平成元年より発生が見られ、平成2年に深川市、伊達市、留寿都村、本年は幕別町の他、帯広市、芽室町、東藻琴村、名寄市でも発生している。発病したものは、根面の汚斑により、商品価値を著しく損なう。

(十勝農試病虫予察科)


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