北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
昭和62年に北海道富良野市および中富良野町で収穫後のタマネギりん茎に腐敗が多発生した。外皮付近あるいは心部より外側のりん片1〜数枚に黄褐色を呈する腐敗が認められた。腐敗部から分離された病原細菌は普通寒天培地上に白色コロニーを形成し、コロニーの表面はしわ状で、辺縁は波状を呈した。
本細菌は好気性でグラム陰性の短桿状細菌であり、1本以上の極毛を有し、細胞内にポリ-β-ヒドロキシブチレートを集積するが、キングらのB培地に蛍光性色素を生産しなかった。また、普通寒天培地に水溶性の黄色色素を生産し、低温(5℃)に長期間静置すると、培地は黒褐色に変色した。
本細菌のコロニーはPseudomonas gladioli pv.alliicola (ATCC 19302)および
P. g.pv.gladioli (MAFF 03-01064)(コロニーの表面および辺縁がいずれも平滑)とは、性状が異なるが、他の細菌学的諸性質(80数項目)では、本細菌はpv.alliicola と一致し、また pv.gladioli とも極めて類似した。
以上から、本細菌はP. gladioli と同定されるが、pathovarについてはさらに検討を要する。
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