北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成3年度新発生病害虫]

たまねぎの白色葉枯病(新称、新発生)

(1991年−平成3年)


  昭和60年に北海道石狩支庁管内でタマネギの葉身が白色となり、枯死する症状が立毛中に発生した。白色化した葉身から黄色コロニー細菌が分離され、本細菌を葉身に注射接種したところ、自然病徴に酷似した症状が発現し、病原性が確認された。本細菌は周べん毛を有するグラム陰性で通性嫌気性の単桿状細菌であり、カタラーゼは陽性であるが、オキシダーゼおよびウレアーゼは陰性であった。アルギニン、オルニチン、グルタミン酸およびリジン脱炭酸酵素活性はいずれも陰性で、ペクチン溶解 活性も認められない。36℃で生育し、ゼラチンを溶解するが、フェニルアラニンデアミナーゼは陰性であった。インドールを生産するが、硝酸塩を還元しなかった。エタノール、ソルビトールおよびラフィノースから酸を生産するが、D(-)酒石酸、L(+)酒石酸およびマロン酸を利用しなかった。本細菌の細菌学ならびに血清学的性質を Erwinia herbicola (ATCC 33243) および E. ananas (ATCC 33244) と比較した結果、本細菌は E. ananas と同定された。

                              
(道南農試病虫予察科)


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