北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成2年8月に長沼町の1農家から出荷された秋播小麦品種「チホクコムギ」に、黒色で楕円形〜紡錘形の小麦粒大で、角状の異物が混入していることを北海道食糧事務所から指摘された。
この黒色粒は、精選して出荷したものには極くわずかの混入であったが、出荷していなかった径2.4〜2.0 mmの「屑」には0.08%、径2.0mm 以下の「屑」には 0.59%それぞれ混入していた。更にこの小麦が生産された畑の収穫後の落穂でも、3穂に黒色粒が認められた。その大きさは4〜12×2〜4 mm 、表層の 0.5mm 程度は黒〜濃褐色内部は灰白色〜淡紫色で細かいほぼ均一な細胞から成り堅かった。黒色粒の表面には無色、楕円形、単細胞で、大きさ5.3〜12.7×1.6〜3.7μmの分生子が多数認められた。更にアルカロイドが検出された。
以上から、この黒色粒は小麦の麦角病菌(Claviceps purpurea )の菌核であると判断された。
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