北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
平成3年6月、石狩町の水稲品種「きらら397」に、葉身に黄色のかさ(ハロ−)を生じる病害が発生した。黄色でほぼ円形、中心部に褐色の小褐点を伴った病斑は拡大すると淡い黄色から黄色〜黄褐色となり、葉身に沿って広がる。健全部との境界は明瞭だが、病斑が多数形成され融合するとそこから先の葉は枯死している。
病斑の融合は葉縁部で多く見られた。
病斑部から病原細菌の分離を試みたところ、キングらのB培地で水溶性蛍光色素を産生し、乳白色集落を形成する細菌が分離された。本細菌を鉢栽培した水稲に噴霧接種したところ、病徴が再現された。
本細菌は、グラム陰性、極鞭毛、グルコ−スを好気的に分解し、蛍光色素を産生した。スクロ−スからのレバン産生(+)、オキシダ−ゼ活性(−)、ジャガイモ塊茎腐敗(−)、アルギニン水解(−)、タバコ過敏感反応(+)から、Pseudomonas syringae 群に属した。また、ゼラチンを溶解し、D-キシロ−ス、マンニト−ル、ソルビト−ル、イノシト−ル、グルコン酸塩を利用するが、D-酒石酸塩、L-酒石酸塩は利用しない。
以上の細菌学的性状とイネに対する病原性から、 本病原細菌はPseudomonassyringae pv.oryzae Kuwata と同定された。