北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和61年度新発生病害虫]

ひまわりの空胴病

(1986年−昭和61年)


 昭和59年8月、虫類村でひまわりの茎が黒変し、その内部が軟腐、消失し、倒伏枯死する細菌病が発生した。本病菌は葉から侵入し、葉柄を経て茎部の発病を起こすとみられ、茎部の発病はスナック用品種に比較して油用品種で少なく、品種間で差異もみられた。被害茎から分離した病原細菌12菌株は集落が白色、グラム陰性、周毛、グルコースを発酵的に分解する桿菌で、オキシダーゼ(−)硝酸塩還元(+)、ゼラチン液化(+)、Na−ポリペクティト液化(+)、ジャガイモ塊茎を24時間以内に軟腐させるなどからErwinia 属の carotovora 群に属した。同群2種3亜種と比較した結果、本病原菌の主要な細菌学的性質は E.chrysanthemi より E.carotovora のそれに一致し、供試菌株中には36℃での生育を除き、subsp.atroseptica と同じ性質を示すものも認められたが同亜種とは血清型が異なった。また、subsp. betavasculorum とはセロビオース、メリビオース、ラフィノース及び L -リシンの利用性で異なった。以上のことから、本病原細菌は Erwinia carotovora (Jones)Holland subsp. carotovora (Jones)Bergey et al.と同定された。
 なお、同病害は昭和60年8月に浦幌町、門別町でも発生が確認された。本病原細菌は好高温性であり、昭和59、60年はいずれも高温年であることから、多発生したものと推察される。

(十勝農試)


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