北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
近年、道内各地で塊茎の皮目部を中心に褐色の亀の甲状ひび割れの発生が多い。本症は、昭和52年8月清水町の品種「紅丸」ではじめて確認された。発病部位には常に放線菌が存在し、Rhizoctonia solani
の分離頻度は低率であった。十勝、日高及び上川地方で採取した新塊茎の発病部から Lawrence の方法で放線菌を分離した土壌接種により病原性を検定した結果、澱粉培地上で気中菌糸が紫〜赤色系の菌株のみが典型的な症状を発現し、同一菌が再分離された。
病原放線菌の菌体中に含まれるジアミノピメリン酸はLL型でStreptomyces に属したが、胞子鎖はコンパクトな螺旋状、胞子表面は刺状など、そうか病菌とは明らかに異なった。本症は象皮病(木村、1979)の場合と異なり高温少雨の年次に発生が多く、また発生と発病畑の土壌 PH、土壌中の CaO、K2O、MgO含量及び CaO/P2O5 比との間には正相関が認められるなど、そうか病の発病環境と同様であった。しかし本症は、土壌伝染が主体で塊茎伝染は低率であった