北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和61年度新発生病害虫]

高級菜豆の根腐症(新発生)

(1986年−昭和61年)


 昭和61年6月、胆振支庁管内壮瞥町の高級菜豆で、胚軸と主根の褐変が認められた。この症状は7月になると更に激しくなり、主根の腐敗・褐変が著しいほ場では、下位葉の黄化と茎葉の萎ちょうが認められた。8月には症状が更に進み、特に主根の腐敗消失が著しいほ場では下位葉の黄化が進んだ。
 この様な症状は、調査を行なった25ほ場のすべてに認められ、高級菜豆の生育に悪影響を及ぼしていると考えられる。この症状がいつ頃から発生していたか明らかでないが、近年、同地方の高級菜豆は生産生と品質が低下し、その対策の確立が望まれており、本症状が関係している可能性もある。
 褐変症状を呈する胚軸及び主根から、常法により菌の分離を行なったところ、Fusarium sp. が高率に分離され、その形態的特性等からF.oxysporum と同定された。分離菌を用いて接種試験を行った結果、「大福」のほか「大正金時」と「大白花」にも病原性が認められ、接種菌が再分離された。F.oxysporum による高級菜豆の病害はこれまで報告がないので、根腐症と 仮称する。

(中央農試病虫部)


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