北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
昭和55年8月に、積丹町でツトガの幼虫が異常発生し、根部及び地際部を食害し、茎葉が褐変枯死する被害がみられた。この年は幼虫態のまま土中で越冬し、本年5〜6月に多数の越冬幼虫が確認され、その飼育羽化成虫により、本種は
Chrysoteuchia culmella LINNE と同定された(服部伊楚子氏同定)。
成虫は体長10mm内外、翅開帳22mm内外、前翅は長方形で外縁にやや太い茶褐色の横帯があり、その外縁に沿って4個の小さい黒点がある。なお、強い走光性を持つようで予察灯(長沼町)に6月下旬から7月下旬にわたり多数誘殺され、発蛾最盛期はおおよそ7月中旬で、8月以降は全く誘殺されないことから、本種は年1回の発生と推測される。卵は主として土の表面に点々と産付けされ、はじめ乳白色であるが次第に淡紅色となり、大きさは0.5×0.3mmで米粒に似た短卵形で、卵期間はほぼ7日である。
ふ化した幼虫は地際部や根部を食害し、はじめは淡褐色で短毛に覆われた体長1mm内外であるが、老熟すると25mm内外に達し、5〜6齢幼虫で土中3cm内外に巣を作って越冬し、6齢を経て蛹化し、蛹期間は約2週間である。蛹化は白色の厚いまゆを作り、その中で行われ、まゆの大きさは30mm内外、蛹は褐色で13×3mm内外である。