北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
昭和54、55年に、札幌市近郊のホウレンソウのモザイク症状株からタバコモザイクウイルスーアブラナ科系統( TMV-C)が、江別市のモザイク症状株からビートモザイクウイルス( BMC)が、北見市及び伊達市のモザイク症状からテンサイえそ性葉脈黄化ウイルス(BNYVV)がそれぞれ分離された。
TMV-C による病徴は、葉に退緑と濃緑よりなる不明瞭な火ぶくれ様のモザイクを呈し、生育不良となるが枯死することはない。本ウイルスはほ場周辺のセイヨウタンポポ、ミチヤナギ、ハコベ、タチイヌノフグリ、ヤチイヌガラシからも分離され、伝染源になると考えられる。
BMV による病徴は、はじめ明瞭な葉脈透明を生じ、のち葉脈間に退緑斑点あるいは脈間の黄化が現れる。本ウイルスは江別市のほ場から分離されたが、近くに採種てん菜があり、モザイク症状株が多く認められた。なお、本ウイルスはアブラムシにより容易に伝播される。
なお、BNYVV による感染については玉田(1971)によって報告されているが、今回再確認した。その病徴は、最初不明瞭な葉脈透明が生じ、のち葉脈に沿って退緑部が広がり、感染後期には黄化症状を呈し、しばしば萎凋枯死する。なお、本ウイルスはてん菜そう根病の病原ウイルスと同一であり、土壌伝染性のウイルスである。
以上のように、TMV-C はほ場及びその周辺の雑草除去、BMV はアブラムシの防除、BNYVV は輪作及び汚染土の取扱いなどの注意を要する。