北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和52年度新発生病害虫]

チモシーのがまの穂病

(1977年−昭和52年)


 古くより発生が認められており、その病原菌は Epichloe sp. とされていた。その後、特に昭和50年頃より道内各地で主に放牧草地内のチモシーに発生が目立ち、病徴が著しく奇形であることから注目されるようになった。
 本病は、道央では5月下旬より9月下旬まで発生がみられ、その病徴は節間より茎及び葉しょうの表皮組織に子座を形成し、長さ3〜10p のがまの穂状となり、はじめ灰白色、のち橙黄色となる。本菌の菌糸幅は1.3〜2.5μm、分生胞子は無色、単胞、やや長卵形で7.5×2.5μm。その後子座内部に高さ210〜300μm、径100〜150μm の子のう殻を形成し、その乳頭状開孔部周辺はスポンジ様組織を呈する。適湿に保つと鈍頭の細長い子のうを多数噴出し、その大きさは125〜10μm。子のう内部には8個の子のう胞子を形成し、大きさ115〜1.8μmである。なお、本菌の形態は既報(欧州)の他の草種(MF、OG)のそれよりやや小さい。また、本菌は5〜30℃で生育し、その適温は25℃である。
 以上のことから、病原菌は Epichloe typhina と同定され、現在生態につき試験を実施中であるが、今後発生増大の恐れがあるので注意を要する。


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