北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和54年度新発生病害虫]

にんじんの雪腐菌核病(新発生)

(1979年−昭和54年)


 本病は数年前から認められていたが、昭和53年3月の融雪時に上磯町の春取りにんじん30haのうち約15haのほ場で被害がみられた。なお、にんじんは通常秋期に収穫、貯蔵されるが、本ほ場では翌春出荷時まで堀取らずに積雪下に放置越冬させたものである。
 病徴は主根が腐敗し、表面が白色の菌叢で覆われ、黒色の菌核を多数着成している。腐敗は根冠部のみに留まる場合もある。
 病原菌は PDA平板上(20゚C)で0.5〜3.0mm大の菌核を多数形成するが、融合して大型の菌核を生ずるものもある。罹病にんじん上の菌核は培地上のものより大型である。自然菌核から生じた子のう盤は4〜5mm大で、子のうは110〜170×6.3〜12.5μm、子のう胞子は8.8〜15.0×4.5〜5.0μm、糸状体は子のうとほぼ同長で Sclerotinia intermedia に関する杉本ら(1959)の記載とほぼ一致する。
 最近 S.intermediaS. minor の同種異名とされており、本病菌も一応 Sclerotinia minor JAGGER (=S. intermedia RAMSEYと同定したいが、さらに異同の指標とされる子のう胞子核数及び子のう盤周辺部組織の形状などにつき検討を要する。なお、これらの発生地域では春季までほ場に放置しいなどの注意が肝要である。


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