北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和54年度新発生病害虫]

てん菜のテンサイトビハムシ(改称)

(1979年−昭和54年)


 桑山ら(1925)はてん菜害虫として、Chaetocnema chalceola JACOBY(テンサイノミハムシ)を報告した。しかし、C. chalceola は中条・木元(1961)によりC.discreta BALY (キイチゴトビハムシ)の異名とされ、さらに大野(1971)は和名の整理を行って C.discreta の和名をテンサイヒサゴトビハムシと改称した。
 中条(1942)は上記とは独立に C. lewisii CHUJU を発表し、和名はこの学名に従ってルイスヒサゴトビハムシと命名された(中条・木元1961)。その後 Gressitt ・木元(1963)、木元(1965)は C.lewisiiC. concinna MARSHALL の異名としたが、和名の方は大野(1971)によりルイスヒサゴトビハムシの名がそのまま引継がれた。
 しかし、最近の調査により北海道のてん菜畑から C.concinna は多数採集されるが、C.discreta は全く発見されない。また桑山(1925)により C.chalceola として発表された標本を再調査したところ、C. discreta ではなく C. concinna であった。さらに室内試験によると C.discreta はてん菜を摂食しなかった。
 C. concinna はてん菜害虫として現在重要な種類であり、桑山氏が最初にてん菜害虫として報告したものも結局この種類であったことから、テンサイトビハムシの和名を C. concinna に対して使用する。また、C. discreta がてん菜を加害する可能性は極めて少なく、以前に使用された和名にちなみキイチゴトビハムシと改称する。


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