北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和54年度新発生病害虫]

大豆の根腐症(新発生)

(1979年−昭和54年)


 昭和53年6〜9月に美唄市及び芽室町の大豆畑で多発を認めたほか、翌54年7〜9月にも同地での発生を確認した。なお、道内での発生実態調査は行っていないが、広く発生分布しているものと推察される。病土に大豆を播種して2〜3週間すると胚軸部に褐変壊死を生ずるが、この病徴は看過されやすい。
 病徴は7〜9月に明瞭となり、地上部がわい化し、黄化萎凋して落葉し、地際芝及び根は黒褐色〜赤紫色に腐敗する。病斑部には黒色ひげ状の菌叢が密生し、特徴的な分生胞子を観察することができる。なお、葉に茶褐色の斑点をまれに生ずることがある。
 病原菌はCorynespora cassiicola と同定されたが、褐色輪紋病との関連につき今後検討を要する。本病菌は病植物の残渣(主に根)上で越年し、1年以上生存する。また冷涼、多湿条件で発病が促進され、土壌温度15〜20゚Cでの発病が激しく、25〜30゚Cではほとんど発病せず、土壌水分の高いほど発病程度が高い。
 本病菌は大豆のほか小豆、菜豆、ササゲ、アルファルファ及びてん菜に寄生性を示し、大豆の感受性が高く、大豆品種に発病差異が認められる。なお、本病菌の生態的特性などから、今後連作畑や水田転換での定着または蔓延が考えられるので注意を要する。


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