北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[昭和54年度新発生病害虫]
昭和54年7月に、白滝町、佐呂間町、女満別町、端野町、北見市、斜里町、清里町及び美唄市の秋播小麦に発生が認められた。これらは連作3年以上のほ場で発生が目立ち、成熟1〜2週間前の7月下旬にツボ状に枯死し、立枯株は草丈低く粒数少なく、地際茎及び葉しょうが黒変し、根が腐敗していた。
子のう殻は球〜卵形で黒変した葉しょう下部の表皮下に埋在し、子のうは頂環があり1重壁で8胞子を内包し、子のう胞子は無色3〜4隔膜でやや屈曲し、大きさ61〜82×25〜41μm である。菌糸は寄主植物上で褐色ほふく菌糸、菌糸束、単純な菌足を生じ、PDA培地上ではやや渦状を呈し鎌形の Phialospore を形成した。
以上から病原菌はGaeumannomyces graminis (SACC.)ARXS Olivier var. tritici WAIKERと考えられた。なお、小麦の作付増加とともに連作化の傾向が伺えるため、今後発生拡大の恐れも考えられるので注意を要する。