北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和53年度新発生病害虫]

トマトの半身萎ちょう病(新発生)

(1978年−昭和53年)


 昭和49年大野町のハウス栽培で、本病類似症状株の発生が認められた。常法により発病茎から分離した菌を、昭和52〜53年に培養土に接種し、トマトを栽培した結果同様の病徴が認められた。
 その病徴は、はじめ下部の小葉に黄変部を生じ、葉緑が変化し、葉脈に沿って拡大し、輪郭不明瞭なクサビ形黄変病斑となる。のち下葉部の枯死が目立ち、果実の着生や肥大が著しく不良となる。病株の維管束は茎の最下部から葉柄部まで淡褐色となり、株は急死せず、次第に落葉して慢性的に枯れ上る。本菌は、なす、ピーマン、いちごにも萎ちょう症状を示した。
 分離菌の分生子梗の基部細胞は無色で、主軸部から小柄が輪生する。分生胞子は小柄の先端に球状に着生し、無色、単胞、楕円形〜円筒形で、大きさ3.0〜7.0×2.0〜5.0μ、平均5.1×3.0μである。PDA 上の菌叢は白色錦状から黒色となり、microsclerotiaを多数形成する。
 以上のことから病原菌は Verticillium dahliae と同定された。本病は各種の野菜に発生することがすでに知られているほか、道内に広く発生分布しているので、今後の発生に注意を要する。


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