昭和51年10月、斜里町、清里町及び訓子町で発生が認められた。本病は昭和51、52年に斜里町及び清里町の数拾戸の農家が、馬鈴しょ遊離土(澱粉工場の馬鈴しょ塊茎表面から離脱した土壌)で育苗したほとんどの株、及び土壌 pH7.0以上の畑に栽培したそう根病発病株のそれぞれ肥大根部に発生がみられた。
病徴は3型に分けられ、凹型は深さ1〜3、幅5〜15、長さ5〜20mmの暗褐色病斑で、周囲がやや隆起する。凸型は高さ2〜7、幅5〜20、長さ5〜30mmの暗褐色隆起病斑で、個々の病斑が融合して根部のほぼ全面を覆うこともある。こぶ型は高さ10〜30、直径10〜40mmのこぶ状を呈する。各病斑は同一株に混在することが多い。本病はくびれた狭窄部を生ずることがなく、帯状粗皮病とは異なる。また、発病株の根重及び根中糖分はほとんど減少しない。
各病斑部から高頻度に Streptomyces 属菌が分離され、胞子表面は平滑で、気中菌糸は白〜灰色であるが、分生胞子柄の形態、培養的及び生理的性質は各病斑型の菌株間で異なる。分離菌株をてん菜に接種すると、各病斑型が再現され、同一菌が再分離される。以上の結果からStreptomyces sp.
と推定され、3病斑型を総称してそうか病と命名された。
なお、今後病原菌を精査して種を同定する予定である。本病菌は馬鈴しょにも病原性を有し、斜網地域のようなてん菜と馬鈴しょの高頻度栽培地帯では病原密度が高まると考えられるので注意を要する。