北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構


[昭和52年度新発生病害虫]

アルファルファのフィトフトラ根腐病(新称)

(1977年−昭和52年)


 昭和49年5月に、札幌市(北海道農試ほ場)の播種1年目のアルファルファに根腐症が認められた。さらに昭和51年には当該ほ場を中心にかなりのアルファルファが枯死し、他の植物の占有が観察された。発生は凹地で A層が厚く水の停滞しやすい所にみられた。罹病植物は黄色矮化状を呈し、根の侵害部は褐色〜黒色で亀裂を生ずることもあるが、維管束部まで達することはない。
 アルファルファ実生による捕捉法により発生地の土壌から分離された Phytophthora 属菌を、接種及び再分離した結果本菌が根腐症を起こすことが認められた。また、コンクリート枠ほ場にアルファルファを播種後、病土を導入しても同様の結果が得られた。本菌の蔵卵器は平滑で球形あるいはやや長円形で31×28μm、卵胞子は球形で23μm、蔵精器は側着のものが多く 13μm、遊走子のうは培地上では形成されにくく、乳頭突起は不明瞭、卵形あるいは洋梨形、担子梗から脱落しにくく 55×37μmである。とうもろこし寒天上での生育温度は7〜32゚Cで、その適温は25゚Cである。
 寄主範囲は今のところアルファルファにのみ強い病原性を示し、他に発生は認められない。本症状は ERWIN (1966) の Phytophthora megasperma DRECHSLERによる根腐病と同一である。以上のことからフィトフトラ根腐病と命名した。なお、今後の発生につき注意を要する。


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