北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[昭和52年度新発生病害虫]
昭和51年5月、旭川市近郊のねぎ栽培地帯で Fusarium 属菌による病害が発生し、激しいほ場では病株率が30%であった。地上部の病徴は、下葉が彎曲し黄化萎ちょうする。地下部の葉しょう側部は腐敗し、茎盤部は褐変する。本症状はたまねぎの乾腐病「片腐れ症状」に酷似する。
罹病茎盤から Fusarium 属菌が分離され、大型分生胞子の多くは隔膜数が3、基脚と先端細胞はくちばし状を呈し、小型分生胞子は楕円形〜球形で擬頭状に形成し、分生子梗は短く、隔膜がなく、厚膜胞子は頂生〜間生する。本菌はねぎのほか、たまねぎの鱗葉、母球(茎盤)及び幼苗に病原性を有し、かつその病原性は
F. oxysporum f. sp. cepae を除く他の分化型より強い。
以上のことから、病原菌は Fusarium oxysporum と同定され、萎ちょう病と命名した。本菌の諸性質はたまねぎの乾腐病菌に酷似する。なお、本菌の分化型の決定についてはさらに検討を要するが、今後の発生につき注意を要する。