北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[昭和51年度新発生病害虫]
昭和50年9月、標津町及び中標津町のクローバ混播牧草地に鱗翅目の幼虫多数が発生し、著しい被害をもたらした。被害牧草地より採取した蛹を羽化させた結果、ツメクサガが少数混在していたが、その大部分はキタバコガ(Pyrrhia umbra HUFNAGEL)であった。昭和51年8月下旬に前年の発生地帯を調査の結果、1u当り5〜25頭の幼虫が発生加害しており、4〜6齢が主体で、キタバコガ幼虫であ
ることを確認した。なお、現地では昭和49年にも発生していたと云う。
本虫は大豆の害虫として古くから知られ、大正、昭和初期にはしばしば多発生して甚大な被害を与えていたが、戦後は時として局地的に発生することはあっても、多発生することはなかった。また、本虫大豆のほか小豆、菜豆、えん豆及びたばこを加害することが知られていたが、まめ科牧草に対する加害は我が国において報告されていない。
現在の発生はごく限られた地域であるが、今後牧草地で発生拡大の恐れがあるほか、豆類への加害も懸念されるので、発生動向には十分な注意を要する。