北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和37年度新発生病害虫]

ホップ萎凋病(假称)

(1962年−昭和37年)


37年秋、札幌市月寒のホップ園でホップの葉が黄変萎凋し、根が朽い、茎の一部が異常に肥大したり、株が枯死する病害が発生したが、これは従来本邦では未知のもので、病原菌は Verticillium albo-atrum Reimke et Berth 、であることが判明した。なお、その後本病は上富良野町でも発見された。
本病は欧州において hop wiet として知られ、ホップの病害としてもっとも警戒されているものである。
月寒のホップ園では11,603株中被害株は6,800株(枯死5,192株)被害株率58.6%に及んでおり、「信州早生」は発病少なく、「アーリーツーク」がはなはだしく発病していた。病原菌は土壌菌で根部芽部を侵害して維管束に侵入する。
菌は維管束部、とくに導管部を上部に進行し、導管部を褐変させるが、急激に葉を凋萎落葉させる場合と、病勢が緩慢で凋萎は軽いが茎の一部(蔓の下部)が異常に肥大する場合とがある。
被害葉、被害蔓の中の菌が風、農具などによって他に伝播されるが、菌は土壌中で越冬する。本病は一度発病すると防除がきわめて困難である。北海道における本病の生態防除法については今後検討を要する。
なお、本病菌は広く世界各国に分布し、多数の作物を侵して萎凋性病害を惹起すものであるが、本邦では本菌によるナスの被害(ナス半身凋萎病−山形県、北海道)が知られている。
ホップを侵害する菌の寄主範囲を明かにするとともら、ホップを侵害する菌とナスを浸害する菌との相関関係などについても今後究明を要する。


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