北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
ぶどうのヒメトラガ(新寄主)
令和元年6月下旬に上川地方の無農薬栽培の醸造用ぶどう園地において、若齢の鱗翅目幼虫の発生が認められた。この幼虫は7月中旬には体長4.1cmに達して老熟し、7月下旬に蛹化した。また、同年7月中旬にニセコ町のぶどう園地において、ぶどうの葉を不整形に食害する、同種の体長2.7cmの中齢幼虫の発生が認められ、この幼虫も7月下旬には蛹化した。これらの蛹からは、翌年春季に成虫が羽化した。さらに令和2年7月下旬には、岩見沢市のぶどう園においても体長4cmの老齢幼虫が確認され、この幼虫も7月下旬には蛹化した。幼虫は体色が灰白色で、頭部、前胸背面、腹部末端付近は黄色を帯びる。頭部には黒褐色の点、胸部、腹部の各節背面には円形の黒色斑点を1対、さらに各節に黒色の斑紋を伴う。本種は、羽化成虫によりヒメトラガAsteropetes noctuina (Butler)と同定された。本種はブドウ類を加害することが知られており、周辺のヤマブドウ、ノブドウなどから飛来したものと考えられた。
(中央農試)
ぶどうのヒメトラガ (橋本 原図)
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