北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
ぶどうのオオブドウキンモンツヤコガ(新寄主)
令和2年8月上旬から下旬に、岩見沢市の殺虫剤不使用の醸造用ぶどう、ニセコ町の有機栽培の醸造用ぶどう栽培園地において、主に葉面内部に2cm×2㎝程度の不整形な潜孔が認められた。潜孔の形状や色彩は、形成部位が葉面内部であることや潜孔の大きさを除き、ブドウキンモンツヤコガとほぼ同じだった。被害部は不整形で、潜孔加害によって葉色は淡褐色を呈し、内部にやや扁平で細長い鱗翅目幼虫が認められた。その後、加害を終えた幼虫は潜孔の一部を5mm×4mm程度長楕円形に切り取り、周縁を綴り合せて形成したケースごと葉から離脱したり、葉裏の柔毛に付着したりした。このケース周縁には、幼虫が絹糸で形成した長さ1mm程度の白色刺状の突起を4本から最大13本程度伴った。当該潜孔からは、9月中旬から10月上旬に体長3mm程度の成虫が羽化した。成虫の翅の色彩はブドウキンモンツヤコガと酷似するが、前翅の基部1/3にある銀色の斑紋は前縁と後縁の二つに分かれ、中央付近前・後縁の2斑紋と合わせて合計4個の銀色斑紋をもつ点が異なる。本種は、鹿児島大学の坂巻祥孝准教授により、オオブドウキンモンツヤコガAntispila inouei Kurokoと同定された。ニセコ町における観察では1世代の経過のみが確認されたが、8月上旬の初確認以前、9月以降に成虫が羽化した以降の経過については不明である。
(中央農試)
ぶどうのオオブドウキンモンツヤコガ(被害葉) (橋本 原図)
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