北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
デルフィニウムのキタネグサレセンチュウ(新寄主)
令和元年9月、空知地方のハウス栽培のデルフィニウムにおいて、生育遅延や枯死株の発生があった。生育不良株の根部は、細根が出ていないなどの生育不良の症状、および、根の中間部や先端部などが褐色になるなどの症状がみられた。この根の褐変部分にはセンチュウの寄生がみられ、根の表皮および皮層の組織が褐変壊死していた。この褐変症状の組織を水に入れるとネグサレセンチュウの遊出が観察され、さらに、生育障害株の株元土壌からは、ベールマン法で75~265頭/土25gと高密度のネグサレセンチュウが分離された。
分離されたネグサレセンチュウを、北農研線虫害グループにおいて、ネグサレセンチュウおよびネコブセンチュウを対象とした多種同時診断法によって遺伝子診断を行ったところ、キタネグサレセンチュウのみが検出され、他のセンチュウは検出されなかった。このことから、根の褐変症状の原因となった種は、キタネグサレセンチュウPratylenchus penetrans (Cobb)と確認された。
(花野セ、北海道農業研究センター、空知農業改良普及センター中空知支所)
デルフィニウムのキタネグサレセンチュウ(根の被害) (柿崎 原図)
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