北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
ヤーコンのヨモギスネナガアブラムシ(新称・新寄主)
令和元年10月中旬、函館市の家庭菜園において生育が停滞していたヤーコンを掘り起こしたところ、塊根の肥大も進んでおらず、地際部と塊根に多数のアブラムシとこれに随伴するアリが確認された。発生したアブラムシは帯広市の鳥倉英徳氏によりヨモギスネナガアブラムシProtrama radicis (Kaltenbach)と同定された。また、随伴していたアリはキイロケアリLasius flavus (Fabricius)であった(北海道植物防疫協会、大久保利道氏同定)。ヨモギスネナガアブラムシが属するスネナガアブラムシ類は、主にキク科などの草本の根部に生息し、アリに随伴し無性世代が土中越冬するとされている。
ヨモギスネナガアブラムシの無翅胎生雌は体長3㎜程度、体色は暗緑色、幼虫は淡いオレンジ色をしている。本種は、触角第6節の先端部(一次感覚板を越えた部分)の長さがその節の1/4以上あり、腹部には角状管がある。無翅胎生雌は、頭部・胸部・腹部の背面が硬化し、微小化した単眼が認められ、触角3~5節にそれぞれ3~5個の二次感覚板がある。一般のオオアブラムシ類(Lachnidae)と大きく異なるのは、後脚のふ節が長大ということである。寄主植物としては、ヨモギ類、シオン類、タンポポ類、ハキダメギクが報告されている。
(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)
ヤーコンのヨモギスネナガアブラムシ (青木 原図)
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