北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和2年度新発生病害虫]


アスパラガスの炭疽病(病原の追加)

 

 

 

 平成30年年9月に上川地方の露地ほ場でアスパラガス(品種「ガインリム」、「ラスノーブル」)の主茎に淡褐色で紡錘形の病斑を形成する病害が発生した。病斑の中央には剛毛を有する黒色の子座に暗橙色の分生子塊が認められた。り病部から分離された糸状菌を接種したところ、原病徴が再現され接種菌が再分離された。分離した糸状菌は、PDA培地上で黒褐色の菌叢を生じ、分生子は鎌形で先端は細まり、基部は截切状、大きさ16.4~22.5×3.3~4.7μmであった。付着器は単生ときに群生し、暗褐色で、倒卵形または不整形、周縁がやや切れ込み、大きさ8.5~16.4×5.4~9.8μmであった。これらの形態的特徴とITS、CHS1、GAPDHおよびH3遺伝子の分子系統解析の結果から、本菌をColletotrichum spaethianum (Allescher) Damm, P.F. Cannon & Crousと同定した。
 アスパラガス炭疽病の病原として、既報告のC. gloeosporioides に、本菌を追加する。

(上川農試・九州沖縄農業研究センター)






アスパラガスの炭疽病 (長濱 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る