北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
かのこそうの株腐病(新称・国内新発生)
平成29年から令和元年7~9月、道内の複数のかのこそう栽培ほ場で、主に生育期の株の地際部や葉柄基部に水浸状の腐敗が生じ、のちに軟化して株の一部または株全体が萎凋・腐敗する症状が確認された。このり病部から高頻度で分離された糸状菌の菌糸は菌糸先端細胞の隔壁近くでほぼ直角に分岐し、分岐した菌糸の基部はくびれ、分岐部近くに隔壁を有するRhizoctonia属菌の特徴を示した。菌糸幅、核数、温度反応の調査に加え、rDNA-ITS領域を用いた分子系統解析等を行った結果、分離菌をR. solani Kühn AG-1 ICおよびAG-5と同定した。これら菌株を用いた接種試験を行ったところ、原病徴が再現され、接種菌が再分離された。これにより、R. solaniによるかのこそうの病害を株腐病と命名した。複数年のほ場調査の結果、本病は半身萎凋病と混発することにより、欠株などの被害を顕著にすると推測された。
(道南農試・法政大学・新潟食料農業大学)
かのこそうの株腐病 (廣岡 原図)
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