北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和2年度新発生病害虫]
とうきの斑点病(新発生)
平成26年6月に渡島地方で栽培中のとうきで、葉に褐色から黒色で外周が黄色の斑点症状が発生した。枯死した斑点部分では分生子殻が観察された。病斑からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の葉への接種により原病徴が再現されたが、根には病原性がなかった。法政大学
廣岡准教授が他県の菌株とあわせて同定を行った結果、分離菌は分生子殻が類球形、殻壁が偽柔組織、分生子は楕円形~円筒形で無隔壁、油胞を両端にもち、大きさが4.0~4.8×1.8~2.3µm、厚膜胞子はなく、培地のNaOH反応は陰性であった。rDNA-ITS領域、LSU、tub2、rpb2 遺伝子の塩基配列を用いた系統解析の結果、Didymella 属内で単独のクレードを形成した。以上より、分離菌はDidymella 属の新種と判断し、本症状をDidymella sp. によるトウキ斑点病として病名提案した。
(道南農試・法政大学・農研機構遺伝資源センター)
とうきの斑点病(美濃 原図)
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