北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和元年度新発生病害虫]
ぶどうのブドウサビダニ(新発生)
令和元年7月中旬、ニセコ町の醸造用ぶどう栽培園地において、新梢の生育が遅延する生育不良樹が散見された。展葉した若葉は生育が遅く、下向きに巻き、葉脈に沿って褐変が認められた。また成葉では葉全体に薄墨を塗ったような変色が認められた。これらの症状を呈する葉に体長が0.2mmにも満たない、紡錘形のフシダニ類の寄生が確認された。当該ダニは紡錘形で淡橙黄色、葉表に多数の寄生が認められたことから、ブドウサビダニ Calepitrimerus vitis (Nalepa)と同定された。ブドウサビダニは本州および海外の多くのブドウ栽培地域で古くから発生が報告されている。生産者への聞き取りによると、これまでにも同様の症状は観察されていたとのことから、道内の醸造用ぶどうにおいても以前から発生していたものと考えられる。本種は本州では新梢の芽鱗の毛茸内や2~3年枝の粗皮下で成虫態で越冬し、梅雨明けごろから増殖するとされる。
(中央農試)
ぶどうのブドウサビダニ(葉巻症状) (西脇 原図)
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