北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和元年度新発生病害虫]


ぶどうのブドウトックリタマバエ(新寄主)

 

 

 

令和元年9月上旬に、中央農業試験場(長沼町)場内の果樹園に栽植された醸造用ぶどう(品種:「ツバイゲルトレーベ」)の葉裏に、赤色円錐形のゴール(虫えい)形成が認められた。また、同時期にニセコ町で栽培されている醸造用ぶどうにおいても同様の虫えいが確認された。これら虫えいは、基部は丸みを帯びて先端は尖るとっくり形、最も太い部分の直径は3mm、高さは5~9mm程度で、表面はなめらかで光沢を帯びる。なお、これらと同じ虫えいは、平成22年8月上旬にも岩見沢市の醸造用ぶどうで発生が確認されていた。
 令和元年に確認された虫えいは、佐賀大学農学部の徳田博士によりブドウトックリタマバエAmpelomyia conicocoricis Elsayed & Tokudaと同定された。本種は年1回の発生で、ぶどうの葉やつるに形成される虫えいは、7月中下旬頃から顕著になり、8月下旬には成熟するとされる。幼虫は内部で摂食した後、地上に落下した虫えい内で幼虫のまま越冬する。今回認められた虫えいは葉の下面に形成していたが、葉の上面に認められることも多い。ヤマブドウでしばしば発生が見られ、醸造用ぶどうでの今回の発生もヤマブドウからの飛来個体による産卵があったものと推察される。

(中央農試)


ぶどうのブドウトックリタマバエ(ゴール) (岩崎 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る